正規表現

量指定子 { } _key-visual

指定回数の繰り返し

 ここからは、量指定子の { } についての解説です。

{ } は、直前の正規表現を指定した回数、ちょうど繰り返したものにマッチさせる正規表現です。

* や + とは異なり、0回以上、1回以上のように上限が不定ではありません。

あくまでも指定した回数を要します。

 記述方法は、2回の繰り返しを指定するなら {2} と、{ } の中に繰り返しの回数を記述します。

そして、文字列パターンを be{2} とすると、bee にはマッチしますが、beeeeeee などにはマッチせずに bee までのマッチになります。

パターンが be{2} の場合 パターンが be{2} の場合のフローチャート


 以下で簡単な例を実行しながら、詳しくみていきましょう。


この記事の難度は、基礎  Cクラスです。

(A: やさしい   →   E: 難しい)

 事前知識として、pythonから正規表現を扱う方法が必要になります。
また、正規表現における文字クラスの知識や、グループを表す正規表現である ( ) を理解している事が望ましいです。
(不安な人でも、【Pythonから使う】【基礎1 文字クラス】 【( ) グループを指定】【( ) キャプチャを使う】、で詳しい解説があるので安心です。)
 平易な例を通じて、繰り返しの指定に慣れていきましょう。

難度       :
事前知識: Pythonの基礎文法(reモジュールを含む)。正規表現の文字クラスやグループ等。
学習効果:   { } が、直前の正規表現を指定した回数、ちょうど繰り返したものにマッチさせる事を理解できる。

Contens  |   目次

Chapter1 Pythonで実行

Chapter1   Pythonで実行

a{1}

 先ず文字列パターンを、アルファベット1文字の a{1} を組み合わせて a{1} とします。

これは a のちょうど1回の繰り返しを表します。

a は 1個だけ必要なので、対象文字列が map なら a のみにマッチするはずです。

    re_meta27_1.py

        import  re

        pattern = re.compile("a{1}")
        st = "map"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 { }_1

 予想通り、a のみにマッチしました。

次にパターンを ma{1}p にします。

mp の間に a が一つある場合にのみ一致するはずです。

    re_meta27_2.py

        import  re

        pattern = re.compile("ma{1}p")
        st = "mp map maap"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 { }_2

 これも想定通りの結果です。

a が1個だけある map のみ一致しました。

これに対して、対象文字列を mop としてしまうと、a の代わりに o が存在するのでマッチしません。

    re_meta27_3.py

        import  re

        pattern = re.compile("ma{1}p")
        st = "mop"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 { }_3

 * や + あるいは ? のときと同様に、mop ではマッチしない事が確認出来ました。

さて、ここで冒頭で例示した bee について実行してみましょう。

パターンを be{2} と構成する事で、e の2回の繰り返しにマッチします。

よって、対象文字列が beeeeeee のように、e が多く繰り返されていてる場合でも、2回分の繰り返しまでしかヒットしません。

    re_meta27_4.py

        import  re

        pattern = re.compile("be{2}")
        st = "b be bee beeeeeee"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 { }_4

 beeeeeee は、bee までしかヒットしていません。

(es){1}

 今度は、グループ化されたものを繰り返しの対象とします。

グループを表す正規表現は ( ) です。

(グループ については【( ) グループを指定】で詳しく説明しています。)

パターンを (es) の繰り返しにする場合、(es){1} のように記述します。

    re_meta27_5.py

        import  re

        pattern = re.compile("gen(es){1}")
        st = "gen genes geneses"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 { }_5

 それぞれ、es が1つの場合は genes 、それより多く繰り返していても genes の部分までの一致になりました。

 さらに、次の例では (es)後方参照を試しています。

(後方参照 については【( ) キャプチャを使う】で詳しく説明しています。)

 パターンは、シンプルに (es){1}\1 にしましょう。

対象文字列は、先程と同様なものに geneseseses 加えた gen genes geneses geneseseses です。

    re_meta27_6.py

        import  re

        pattern = re.compile(r"gen(es){1}\1")
        st = "gen genes geneses geneseseses"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("----- match -----")
            for  i   in  range(result.lastindex + 1):
              print('group{num};'.format(num = i),result.group(i))
              print("位置",result.span(i))
                            


実行結果 量指定子 { }_6

実行結果(続き) 量指定子 ?_6_2

 geneses , genesesesesgeneses の箇所 にはマッチしました。

グループに量指定子を組み合わせてから、後方参照を (es){1}\1 のように行っても、あくまで es と、その参照が必要になる事は変わらないようです。

((es){1})

 次の例では、(es){1} 自体を ( ) で括ってグループ化してみましょう。

パターン以外は、一つ前に実行した meta27_6.py と同様にして、結果の違いに注意しながら試します。

    re_meta27_7.py

        import  re

        pattern = re.compile(r"gen((es){1})\1")
        st = "gen genes geneses geneseseses"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("----- match -----")
            for  i   in  range(result.lastindex + 1):
              print('group{num};'.format(num = i),result.group(i))
              print("位置",result.span(i))
                            


実行結果 量指定子 { }_7

実行結果(続き) 量指定子 ?_7_2

 geneses , geneseseses につき、各々パターンで指定した、1回分に該当する後方参照が行われたようです。

\d{2}

 続けて例を出します。

数字を表す文字クラスである \d{ } を組み合わせて、数字の繰り返しを狙います。

(文字クラス については【\d 数字を指定する】で詳しく説明します。)

    re_meta27_8.py

        import  re

        pattern = re.compile("¥\d{2}")
        st = "¥ ¥7 ¥57 ¥287"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 { }_8

 ¥ 表示の金額を左から2桁分取得出来ました。



 { } の解説は以上です。

{ }直前の正規表現を指定した回数、ちょうど繰り返したものにマッチさせる事を理解できました。

 今回は、指定回数ちょうどの場合のみ扱いましたが、{ } には , を付けて { , } のようにすると、繰り返し回数に範囲を持たせる事が可能です。

詳細は次回に譲りたいと思います。

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