正規表現

量指定子 ? _key-visual

省略にマッチ!

 引き続き量指定子の解説です。

? について取り扱います。

? は、直前の正規表現を0回か、1回繰り返したものにマッチさせる正規表現です。

これは対象文字列が、省略形で記述されている場合などで有用に働くと思われます。

 例えば、対象文字列が 東京都 東京 であるとき、パターンを 東京都? とします。

すると、東京都 のみならず、その省略形である 東京 にもマッチします。

但し、1回より多い回数の繰り返しがあったとしても、マッチするのは1回分までです。

そのため、パターンを be? とすると、bbe にはマッチしますが、bee にはマッチせずに be までのマッチになります。

パターンが be? の場合 パターンが be? の場合のフローチャート


 それでは、シンプルな例で練習していきましょう。


この記事の難度は、基礎  Cクラスです。

(A: やさしい   →   E: 難しい)

 事前知識として、pythonから正規表現を扱う方法が必要になります。
また、正規表現における文字クラスの知識や、グループを表す正規表現である ( ) を理解している事が望ましいです。
(不安な人でも、【Pythonから使う】【基礎1 文字クラス】 【( ) グループを指定】【( ) キャプチャを使う】、で詳しい解説があるので安心です。)
 * や + との違いに注意しながら ? の性質を把握しましょう。

難度       :
事前知識: Pythonの基礎文法(reモジュールを含む)。正規表現の文字クラスやグループ等。
学習効果:   ? が、直前の正規表現を0回か、1回繰り返したものにマッチさせる事を理解できる。

Contens  |   目次

Chapter1 Pythonで実行

Chapter1   Pythonで実行

a?

 先ず文字列パターンを、アルファベット1文字の a? を組み合わせて a? とします。

これは a の0回か1回の繰り返しを表します。

a は 1個あるか、あるいは無くてもよいので、対象文字列が map なら、1回出現している a の他にもマッチするはずです。

    re_meta26_1.py

        import  re

        pattern = re.compile("a?")
        st = "map"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 ?_1

 予想通り、a 以外にもマッチしました。

次にパターンを ma?p にします。

mp の間に a が一つあるか、あるいは無い場合に一致するはずです。

    re_meta26_2.py

        import  re

        pattern = re.compile("ma?p")
        st = "mp map maap"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 ?_2

 これも想定通りの結果です。

a が存在しない mp や、1個だけある map などと一致しました。

これに対して、対象文字列を mop としてしまうと、a の代わりに o が存在するのでマッチしません。

    re_meta26_3.py

        import  re

        pattern = re.compile("ma?p")
        st = "mop"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 ?_3

 * や + のときと同様に、mop ではマッチしない事が確認出来ました。

さて、ここで冒頭で例示した bee について実行してみましょう。

パターンを be? と構成する事で、e が存在しないか1回の繰り返しにマッチします。

よって、対象文字列が beeeeeee のように、e が多く繰り返されていてる場合でも、1回分の繰り返しまでしかヒットしません。

    re_meta26_4.py

        import  re

        pattern = re.compile("be?")
        st = "b be bee beeeeeee"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 ?_4

 beebeeeeeee は、be までしかヒットしていません。

(es)?

 今度は、グループ化されたものを繰り返しの対象とします。

グループを表す正規表現は ( ) です。

(グループ については【( ) グループを指定】で詳しく説明しています。)

パターンを (es) の繰り返しにする場合、(es)? のように記述します。

    re_meta26_5.py

        import  re

        pattern = re.compile("gen(es)?")
        st = "gen genes geneses"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 ?_5

 それぞれ、es が1つの場合は genes 、それより多く繰り返していても genes の部分まで、そして省略してある genに一致しました。

 さらに、次の例では (es)後方参照を試しています。

(後方参照 については【( ) キャプチャを使う】で詳しく説明しています。)

 パターンは、シンプルに (es)?\1 にしましょう。

対象文字列は、先程と同様なものに geneseseses 加えた gen genes geneses geneseseses です。

    re_meta26_6.py

        import  re

        pattern = re.compile(r"gen(es)?\1")
        st = "gen genes geneses geneseseses"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("----- match -----")
            for  i   in  range(result.lastindex + 1):
              print('group{num};'.format(num = i),result.group(i))
              print("位置",result.span(i))
                            


実行結果 量指定子 ?_6

実行結果(続き) 量指定子 ?_6

 geneses , genesesesesgeneses の箇所 にはマッチしました。

グループに量指定子を組み合わせてから、後方参照を (es)?\1 のように行っても、あくまで es と、その参照が必要になる事は変わらないようです。

((es)?)

 次の例では、(es)? 自体を ( ) で括ってグループ化してみましょう。

パターン以外は、一つ前に実行した meta26_6.py と同様にして、結果の違いに注意しながら試します。

    re_meta26_7.py

        import  re

        pattern = re.compile(r"gen((es)?)\1")
        st = "gen genes geneses geneseseses"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("----- match -----")
            for  i   in  range(result.lastindex + 1):
              print('group{num};'.format(num = i),result.group(i))
              print("位置",result.span(i))
                            


実行結果 量指定子 ?_7_1

実行結果(続き) 量指定子 ?_7_2

実行結果(続き2) 量指定子 ?_7_3

 gen , geneses の箇所に一致しました。

各々、0回、1回分に該当する後方参照が行われたようです。

\d?

 続けて例を出します。

数字を表す文字クラスである \d? を組み合わせて、数字の繰り返しを狙います。

(文字クラス については【\d 数字を指定する】で詳しく説明します。)

    re_meta26_8.py

        import  re

        pattern = re.compile("¥\d?")
        st = "¥ ¥7 ¥57 ¥287"
        print("↓ 対象文字列\n"+st)
        result_iter = pattern.finditer(st)
        for  result   in  result_iter:
            print("match:",result.group())
            print("位置",result.span())        
                            


実行結果 量指定子 ?_8

実行結果(続き2) 量指定子 ?_7_2

 0回の分も含めて ¥ 表示の一番左側の金額を取得出来ました。



 ? の説明はここで終了です。

平易な例を通じて、?直前の正規表現を 0回か、1回繰り返したものにマッチする事を理解できました。

 次回の量指定子は { } の説明です。

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